ボンネット板金塗装の基本工程・仕上がりに差が出る作業手順とは
ボンネットの板金塗装は、ただ塗料を塗る作業ではありません。工程ごとに専門的な技術が求められ、適切な手順を踏まなければ塗装ムラや早期の劣化といった問題が生じやすくなります。ここでは、一般的な工程を紹介しつつ、仕上がりに大きく影響する注意点を解説いたします。
工程 |
内容 |
技術的要点 |
表面洗浄 |
汚れや油分を除去 |
高圧洗浄機・脱脂剤を使用 |
板金修正 |
へこみや歪みの修正 |
専用工具と熟練技術が必須 |
パテ形成 |
表面の凹凸を均一にする |
薄く均一に塗布し研磨精度を保つ |
下地処理 |
サフェーサー塗布 |
塗料の密着性と発色に関係 |
上塗り塗装 |
カラー塗装(数回) |
天候・温度・湿度に注意が必要 |
クリア塗装 |
ツヤと耐久性の仕上げ |
UV耐性・均一な塗布が求められる |
乾燥・硬化 |
自然乾燥または加熱処理 |
硬化不足は剥がれやすさの原因に |
研磨・仕上げ |
ポリッシャーで艶出し |
微細なキズ除去と最終調整を実施 |
これらの工程のうち、「パテ成形」と「下地処理」「上塗り塗装」の3つは仕上がりに直結します。パテを厚く盛りすぎたり、下地の処理が甘いと、塗装後に浮きやひび割れが発生しやすくなります。ボンネットはエンジンの熱や外気の影響を受けやすいため、上塗り塗装時の気温や湿度の管理も極めて重要です。
色合わせの工程では、既存のボディ色との違和感が出ないよう、塗料を調合する高度な調色技術が求められます。微妙な色味の違いは光の加減で目立つため、屋外と室内での確認が必須です。
施工後には乾燥・硬化をしっかり行い、表面を研磨して艶を整えます。この研磨が不十分だと、せっかくの塗装面がくもった印象になってしまいます。こうした細かい工程の積み重ねが、美しい仕上がりと長持ちする塗装を実現します。
「自分でできる症状」と「業者依頼が必須な症状」の見極め方
ボンネットに傷やへこみが発生したとき、まず気になるのは「これは自分で直せるのか、それとも業者に頼むべきなのか」という判断です。この見極めを誤ると、かえって症状を悪化させたり、将来的なトラブルの原因になってしまいます。
症状 |
自分で対応可能 |
業者依頼が必要 |
表面の軽い擦り傷 |
〇(コンパウンドで除去可能) |
ー |
塗装面の浅い退色 |
△(補修ペンやスプレーで対処可だが色ムラのリスク) |
〇(広範囲やメタリック塗装は要注意) |
小さな飛び石キズ |
△(タッチアップで対応可) |
〇(防錆処理も重要) |
深いへこみや割れ |
ー |
〇(板金と再塗装が必要) |
錆が進行している |
ー |
〇(錆止め処理と再塗装が必須) |
以前にDIY補修歴あり |
ー |
〇(下地処理が不十分なケース多い) |
市販の補修キットやスプレーは手軽に利用できますが、色合わせの難しさや下地処理の甘さにより、塗装が浮いたり剥がれたりすることもあります。とくにメタリックやパール塗装の場合は光の反射でムラが目立ちやすく、プロによる調色技術が不可欠です。
へこみを伴う傷では、塗装だけでなく板金処理も必要になります。ここで無理に自力で直そうとすると、逆にパネルのゆがみや塗装剥がれを引き起こし、修理費用が膨らむ結果になりかねません。
錆の進行が見られる場合も要注意です。表面だけでなく内部にも錆が広がっているケースが多く、市販の錆止めスプレーでは十分に抑えきれないことがあります。こうした症状は早めにプロの判断を仰ぎ、適切な処置を受けることが大切です。