事故や傷の確認と初期チェック
板金塗装の最初のステップは、車両の損傷部分の確認と初期チェックです。事故や衝突によって発生した傷やへこみを診断し、それらを修復するための作業計画を立てます。この段階では、車両の状態を正確に把握することが重要で、どの部分を修理する必要があるのか、また修理方法についても詳細に確認することが求められます。
車両の損傷を診断する際に注目すべきポイントは、傷の深さや広がり、へこみの大きさや位置です。例えば、深い傷の場合には板金作業の後に塗装を施す必要がありますし、軽微な傷やへこみであれば、パテを使用して修復することができます。また、診断時には車両の走行に影響を与えない部分でも、外装が損傷している場合は、見た目の修復だけでなく、車両の保護も考慮した修理を行います。
修復前準備(洗浄とサンドペーパー処理)
次に、修復作業に向けて準備を行います。この準備作業では、車両の表面を洗浄し、塗装面が整った状態で作業を進めるためにサンドペーパーで研磨します。まず、車両表面に付着した汚れや油分、塗装の剥がれた部分などを完全に洗浄し、その後サンドペーパーを使用して、表面を均一に整えます。
サンドペーパー処理を行うことで、塗装がしっかりと密着し、仕上がりのクオリティが向上します。さらに、サンドペーパーを使うことで、凹凸が修正され、塗装が均一に施されるため、最終的な仕上がりに大きな差が生まれます。この工程は、塗装を長持ちさせるためにも非常に重要な作業です。
板金作業(パネルの修復)
板金塗装の中でも最も重要な作業の一つが、板金作業です。板金作業では、損傷したパネルを修復するために、金属を引き伸ばしたり、叩いたりして元の形に戻します。へこんだ部分を引っ張り出すために、専用の工具を使用して修復します。
この作業では、技術が非常に重要です。特に、金属を扱う作業では、表面を傷つけることなく、均一に修復を行うことが求められます。DIYで板金作業を行う場合、特に注意が必要です。適切な工具と手順を踏まないと、逆に車両の状態を悪化させる可能性があります。したがって、板金作業はプロに依頼することをおすすめします。
塗装の前処理(マスキング・養生)
板金作業が完了した後、塗装を行うための準備として、マスキングと呼ばれる作業が行われます。マスキング作業では、塗装しない部分を保護するために、専用のテープやフィルムを使用して周囲を覆います。この作業により、塗料が他の部分に付着することを防ぎます。
また、養生という作業も重要です。養生は、塗装する面が完全に乾燥し、塗料が定着する前に適切に保護する作業です。養生を行うことで、塗装が均一に仕上がり、後の作業がスムーズに進みます。この工程を丁寧に行うことで、塗装後の仕上がりが非常に高いクオリティになります。
塗装作業(スプレー塗装と乾燥)
塗装作業は、板金塗装の中でも最も目立つ工程です。スプレーガンを使用して塗料を均一に塗布し、車両全体に塗装を施します。塗装は複数回の重ね塗りを行い、塗膜が厚くなることで、耐久性が増します。
スプレー塗装は、技術的に非常に難易度が高い作業です。塗装が均一に塗られないと、ムラや色の違いが生じてしまいます。また、塗装が乾燥するまでに時間がかかるため、乾燥時間を適切に確保することが重要です。乾燥後には、再度確認作業を行い、塗装の仕上がりに問題がないかをチェックします。
仕上げ作業(磨きと仕上げ)
塗装が完了した後、最終的な仕上げ作業が行われます。この工程では、塗装面を磨き、光沢を出す作業が行われます。磨き作業によって、塗装面が滑らかになり、鏡のように美しい仕上がりになります。
磨き作業の後には、最終チェックが行われます。塗装のムラや傷がないか、塗膜に問題がないかを確認し、問題があれば修正作業を行います。この最終工程をしっかりと行うことで、板金塗装が完了し、車両は元通りに美しく仕上がります。